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年末のご挨拶

 約一年前、中国武漢を発端とする新型コロナウイルスについてのニュースが、全世界を駆け巡りました。所詮は対岸の火事だと楽観視していたこのウイルスは、弊社の本社を構えるオホーツク、北見市において、2月にクラスターが発生、他人事とは思えない事態となり、その後、全国的に感染者数の乱高下を繰り返し現在に至ります。感染された皆様、そのご家族や職場の方々、さらにはお仕事やプライベートに至るまで影響を受けておられる皆様にこの場をお借りして、心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、2020年は、今まで当たり前と思っていたことができない、とても異常な一年となりました。定期的にあった会合は全て無くなり、楽しみにしていた東京オリンピック・パラリンピックは延期、ほとんどのイベントが中止となり、友人や職場の仲間との会食すらままならない状況となりました。私たち北海道民は、2018年9月6日に北海道胆振東部地震を経験し、家族や仲間の大切さを改めて考えさせられ、命と向き合い、生きることの意義や心の豊かさについて考える機会がありました。それから1年半後、まさか映画の世界のようにウイルスが世界中に蔓延し、不自由な生活を強いられることになるとは思ってもいませんでした。しかしその反面、普通であることの有難さを知り、身近にいる家族や仲間への感謝の気持ちをいただき、制限されたことによって生まれた時間で新たなチャレンジをすることにより、多くの気づきを得た一年でありました。約1年が経過した現在も、コロナが終息する見込みは立っておりませんが、何かを見直すために神様が与えてくれたチャンスと捉え、2021年も取り組んでまいる所存でございます。

 弊社は二つの事業の柱を持っております。一つは本社である北見市で、飲食店やホテルに鶏の卵の卸販売を中心に行う「北の食文化を支える」事業、そしてもう一つは北見、十勝、釧路、旭川、そして札幌で展開しております、企業向けユニフォームの販売を主として行う「理念をデザインする」事業。この二つの事業においても、地域の企業を訪問し当社のサービスをご紹介して歩くことを基本としておりますが、新型コロナウイルスの感染対策のステージが上がるたびに、社員の行動指針を見直し、限られた環境でいかに生産性を上げるかを日々考えてまいりました。

 東日本大震災によって原発の是非に対する議論が巻き起こったり、今回のコロナによって会社を都市部から地方に移転するといったようなお話が出てきたり、私たちは「立ち止まるからこそ見える景色」を感じ柔軟に対応することが求められております。

 だとするならば、今まで我々が感じていた当たり前と思う常識、価値観が必ずしもそうではなく、今後、新たな価値を創造していなかければならないということを指し示しているのだと、とらえるべきではないでしょうか。

 当社では昭和53年以来、オホーツク、道東地域を中心に商売をさせていただいておりますが、ご承知の通り、札幌圏以外のほとんどの地域ではすでに過疎化が進んでおり、同じサービスで勝負していてはお客様が減少し、当然のことながら利益は減少してしまいます。会社を存続させるためには、他の商材を増やすか、売り先を変えるか、会社の規模を縮小するしかありません。何とか旧態依然の体制で今までやってまいりましたが、これからは事業を根本から見直す覚悟をもって取り組むことが必要だと考えております。

 2020年は二つの事業を行っていたからこそ、一方の事業部がコロナの影響を多大に受けながらも会社が傾くことなく耐え忍ぶことができました。

 そこで、まずはさらに会社を安定させるために、もう一つの柱を作る気概を以って取り組みます。それは既に一部ご案内を始めておりますが、商品を通じてお客様のコーポレートブランドを確立するお手伝い「デザインでブランディング」する事業です。当社もそうですが、ほとんどの会社は世界がうらやむような特許や人材で優位性の高いサービスを行っているのではなく、同業他社と比較してほんの少しの差異によって事業が成り立っていると思われます。そのような中で社員の愛社精神を養ったり、会社に所属する誇りや、地域での存在感であったり、さらには人材確保につながるようなデザインや商品のご提案をさせていただきます。

 その第一弾として、今まで飲食店やホテルなど外食産業に向けて販売していた鶏卵を、広告塔として販売する企画を立ち上げました。鶏卵は価格の優等生とも言われ、安価で必需品であることから誰にも喜ばれる粗品として、ご依頼いただくことはございましたが、あくまでもそれは単なる粗品に過ぎませんでした。また、その際の化粧箱は、メーカーや販売店の宣伝として利用されるものであり、さほど重要視されることはございませんでした。そこで当社では、その化粧箱にお客様の希望するデザインをお入れして、宣伝広告につながるものになるように考えたのです。それにより、今まで自ら勝手に思い込んでいた外食産業という狭い市場から、各業界の展示会や周年事業として新たな売り先を創出し、更には結婚式の引き出物やサークルの記念品としても需要の掘り起こしができると考えます。これはコロナ禍で生まれた時間があったからこそ生まれたサービスであり、コロナで特需として売れたマスクによって新たなお付き合いが始まった企業が沢山あることから生まれた発想です。

 新たなサービスを持てばお客様の層が変化します。お客様の層が変化すると、新たな情報がまた入り、更に新たなサービスを創出する糧になることを学びました。創業の心を大切にし、技術継承し事業を守っていくことは大切ですが、時代の変化に柔軟に対応する能力こそが今企業に求められているのではないでしょうか。

 2020年はコロナに振り回され、経済か、健康かのどちらかを選択せねばならない状況となりました。それが後半に入り自由という選択肢が加わり3択となったとも言われております。一方2021年は、経済、健康、自由のどれかを選択しなくてはならないのではなく、今まで通りいかなくとも、全てが成り立つ形を模索しながら行動すべきであると考えます。

 またこの3つのキーワードは、働き方改革の実践にもつながります。

 昨年は当社でも、働き方改革という名のもとで、様々な改革を行ってきました。早出残業代の支給、1分単位の残業、有給休暇の管理、インフルエンザの予防接種の一部補助、クリスマス、おせち、年越しそばなどをお世話になっている飲食店から購入するための補助、ZOOMによる全店での朝礼や会議の実施、グループラインの活用による伝達手段の改善、北海道盲導犬協会への寄付につながるキャンペーンの実施、コンサドーレ札幌のリレーションシップパートナーに参加することによる社会貢献と福利厚生の充実。

 そして長年105日~110日であった年間休日を2021年は126日にする方向で動いております。社員の余暇を増やすことで、家族や友人と過ごす時間は増え、私生活が充実するため、心に余裕が生まれ、公私ともに充実した時間を過ごし心の豊かさに繋がるといった効果を期待しております。また、人材を確保するためには、休日も含めまずは既存の社員が働きやすい環境を整備することが必要だと考えておりますので、今後も一つずつできることから改善し、魅力ある職場づくり⇒人材の確保⇒業績の向上⇒利益増の好循環を作ってまいります。

 これについてもコロナがなければ段階的に行い、数年後の120日を目標に取り組むところでしたが、コロナで浮き彫りになったアナログな作業や無駄な移動を見直した結果、今ならできるのではないかといった見通しが立ったためチャレンジすることといたしました。

 2021年も少なくとも半年間、コロナは収束に向かわないとみる専門家が多いようです。

 「立ち止まるからこそ見える景色がある」、それを素通りすることなくまずは現実を受け止め、仮説を立て今できることを実践する。そして行動を見直し、また仮説を立て実践する。その繰り返しの結果、新たな価値の創造へとつながるものと確信しております。

 最後になりますが、関係企業の皆様のご多幸と益々のご発展を祈念申し上げ、年末のご挨拶とさせていただきます。

 見えない敵との戦いにも必ず終わりはあります。共に耐え忍び、未来を切り拓いてまいりましょう。恐れずに、しかし気を付けて。

株式会社 ユニコロン

代表取締役 吉岡 大